鍼灸について

鍼灸の効果

鍼灸刺激は、刺激した部位に反射を起こさせて、血管が拡張してその部位の血液循環が良くなります。その結果、痛みの原因となっている物質を洗い流してくれることで痛みが軽減されると考えられています。

コリがあったり血流が悪くなっている場所では、痛みを感じさせる物質が、その場所に溜まりやすくなります。鍼灸では血流を良くすることで、それらを洗い流して、痛みを楽にします。そして、血流が良くなるということは、酸素や栄養素も全身の細胞に届きやすくなるので治癒力の向上にも繋がります。

また身体の筋肉以外の問題でも心臓、胃、大腸などの内臓、血管、瞳孔、汗腺などは、自分の意志でその動きをコントロールできません。これらは自律神経という神経によってコントロールされています。病気の時や、ストレスが溜まっている時は、この自律神経の働きが乱れやすいのです。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つからできていますが、病気の時はどちらかが過剰に働いている場合が多いです。それが身体の様々な症状を出したり、大きな病気の原因になったりします。

鍼灸は、これらを調節するための方法の1つでもあります。腕や足など四肢への鍼刺激は胃などの内臓の副交感神経の作用を強めることが知られています。
逆に、背中やお腹などの体幹部に対する鍼刺激は交感神経の働きを強めることが知られています。これらのバランスをとるように、鍼灸は刺激をうまく与え、自律神経の働きを整えていきます。よって、自律神経の働きを整えることにより、そこから精神面にも働きかけストレスの軽減にもなります。
鍼灸の効果

鍼灸の適応例

最近、NIH(米国国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の各種の病気に対する効果とその科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果について有効であると発表しました。 WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には、次のものを挙げています。
  • 神経系疾患
    神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
  • 運動器系疾患
    関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
  • 循環器系疾患
    心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
  • 呼吸器系疾患
    気管支炎・喘息・風邪および予防
  • 消化器系疾患
    胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
  • 代謝内分秘系疾患
    バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
  • 生殖、泌尿器系疾患
    膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
  • 婦人科系疾患
    更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
  • 耳鼻咽喉科系疾患
    中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
  • 眼科系疾患
    眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
  • 小児科疾患
    小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
上記疾患のうち「◎神経痛◎リウマチ◎頚肩腕症候群◎頚椎捻挫後遺症◎五十肩◎腰痛」は、わが国においては、鍼灸の健康保険の適用が認められています。

鍼灸は何故効くのですか?

鍼灸の効果の研究は、各地にある研究所、医療機関、鍼灸大学、短期大学などで意欲的に進められております。総合的には、鍼灸刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用して、その結果として、中枢性及び反射性の筋緊張の緩和、血液及びリンパ液循環の改善等の作用があり、ひいては、生体の恒常性(病気を自然に回復させる作用)に働きかけるのではないかと考えられています。

また、古来より認められている鎮痛効果の解明も次のような諸説があります。
  • ゲートコントロール…針刺激が脊髄において痛みを抑制する。
  • エンドルフィン…針刺激がモルヒネ様鎮痛物質の遊離を促し痛みを抑制する。
  • 末梢神経の遮断効果…針刺激が末梢神経の痛みのインパルスを遮断する。
  • 経穴(ツボ)の針刺激による痛覚閾値の上昇による鎮痛効果。
  • 血液循環の改善…筋肉の緊張をゆるめ血行状態を良くする。